2004年4月

関係者 各位

茨城県内の障害者雇用率未達成企業・解説の公表にあたって

                 全国障害者問題研究会茨城支部

 

 私たち全国障害者問題研究会茨城支部(以下,「茨障研」という。)は,障害者の権利保障を進めることを目的に研究活動を進めている団体です。障害のある人たちの就労の促進も,私たち茨障研の重要な研究課題です。

 現在,日本の障害者雇用は,「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下,雇用促進法)に基づき,雇用率制度と納付金制度で成り立っています。同法によれば障害者(身体障害者または知的障害者)の法定雇用率は,一般の民間企業で1.8%です。この法律によれば、56人以上の企業では1人以上の障害者を雇用する義務が生ずることとなります。しかし残念ながら,この法律が制定されて以来,いまだ守られていません。茨城県では、2003年6月現在、障害者の実雇用率は1.44%です。もし,法律どおりに法定雇用率(1.8%)を民間企業が守るならば,県内で762人の障害者の雇用が増加します。

 これまで,少しでも障害者の実雇用率を高めたいとの願いから,障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会などが「障害者雇用率未達成企業の公表をしてほしい!」と当局に要望してきましたが,全面的な公表はされませんでした。しかし,一部企業については雇用実態が公表された時期(1992年3月に労働省が4企業の社名を公表。加納正「障害者雇用の拡充」『障害者の人権20の課題』より)があり,その時期には,わずかですが実雇用率が上がっています(民間企業における実雇用率〈各年6月1日〉:1991年1.36%〈前年比0.04%増〉,1992年1.41%〈0.05%増〉,1993年:1.44%〈0.03%増〉)。

 2003年に,東京都の障害者団体関係者が東京労働局に対して,障害者雇用率未達成企業の開示請求を行い,裁判を経て,ようやく障害者雇用率未達成企業をホームページで公表するに至りました(金政玉「『障害者雇用率未達成企業一覧等の一部開示決定』に関する本件訴訟への意見陳述」ホームページ)。

 そうした経緯を踏まえ,茨障研は2003年11月に茨城労働局に対し、茨城県内の障害者雇用率未達成企業について開示請求しました。その結果,一部不開示部分もありましたが,茨城県内に本社がある企業の「障害者雇用」にかんする「平成15年6月1日障害者雇用率未達成企業の障害者雇用状況報告書」の開示を得ました。

 茨障研では、早速、開示されたデータの分析を進めました。そして、その結果を「茨城県内の障害者雇用率未達成企業」と「解説:茨城県における障害者雇用の現状と課題−2003年度6月1日現在,民間企業の障害者雇用未達成企業の分析−」としてまとめ、これらをホームページで公表することと致しました。

 今回の開示請求は茨城労働局にたいして行いましたが、同労働局の調査対象は,‘茨城県内に本社がある企業’に限られています。したがってわれわれの分析対象も、そのような企業に限られており、本社が東京都や県外にある比較的大規模の企業に関する「障害者雇用」の状況については明らかにすることができませんでした。

 茨障研としては,これからもひきつづき「障害者雇用率未達成企業」について,このような開示請求を含めて調査と研究を進め,あわせてその結果を公開してゆく所存です。これはひとえに、企業の社会的責任として,障害者雇用を進めていただきたいからです。

 ぜひ,公表したホームページをご覧いただき,今後の障害者雇用の促進に少しでも役だてていただければ幸いです。20世紀は,日本の障害者運動が障害者の「権利としての教育」を実現させました。21世紀は、障害者を含めてすべての人の「就労権の保障」を実現させたいものです。

 なお、このことに関しての問い合わせ等は以下のホームページ宛にお寄せ下さい。
茨障研のホームページ http://homepage3.nifty.com/kokoroart/

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